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「私、先輩の作品楽しみにしてますよ。
後輩のキャラが私に似てたんなら、先輩のキャラはツバキ先輩自身でした」
それを言われて俺はドキッとした。
俺の作品、最後に先輩と後輩は……。
結ばれる。
「本当に楽しみです!」
どういう意味で楽しみ何だろうか。
「そんなに腹減ってたのか?」
「ちちち違います! 先輩の作品の方ですよ!」
しかしその時タイミングをはかってたかのように夏奈のお腹がなった。
夏奈は頬を赤く染める。
「わ……私もうお嫁にいけません……」
「半熟卵も付けてやるよ」
「やった! 先輩、じゃあ行きましょう!」
「おい!」
夏奈は俺の手を引っ張って走り出した。
小さくて柔らかい夏奈の手。
俺はその手をそっと握り返した。
すると夏奈は俺の目を見てニコッと笑った。
その笑顔は俺にはとても眩しかった。
「先輩の手、大きくてあったかいです」
その言葉に俺の胸はキュンと高鳴る。
あれ……夏奈ってこんなに……。
「先輩、早く行きましょう?」
「お、おう」
夏奈といる時は凄く楽しくて、
まるで夏奈から元気を分けてもらっているみたいだった。
俺は気持ちに気付かないふりをして、逆に走り出す。
「あ、先輩! 私の前に出ちゃダメです!」
「何を変なことを……」
ただ、夏奈の言っていることの意味は分かった。
夏奈の顔は赤く火照っていた。
「いやぁ、今日は暑いですねぇ」
バレバレの嘘をつく夏奈がおかしくて、
可愛くて、俺は笑った。
「笑うなんて酷いです!
大体先輩が……!」
こうして夏奈といる時間が、何より楽しかったんだ。
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