5.嘘

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「休講メール来るの遅いっての……」 俺は思わずため息をついた。 学校に着いてから来た所でどうしろというのか。 しかも今日あるのはこの講義だけだ。 友希や坂井もこの講義は取っていない。 部活の定例会までまだ2時間はあるし、だからといって定例会を休む訳にもいかない。 さて……どうしようかな。 そんなことを考えていた時だった。 「えっ、休講? そんな不意打ちずるいですっ!」 俺のすぐ横で夏奈が分かりやすく頬を膨らませていた。 ていうか、口に出していうなよな。 俺はたまらずに吹きだした。 「夏奈も休講なのか?」 「あ、ツバキ先輩! そうなんですよ、友達も何も教えてくれなくて!」 夏奈は相当ご立腹な様子だった。 しかし、夏奈は首を傾げた。 「……今、先輩もって言いました? もしかして先輩も休講なんですか?」 「あぁ、そうだけど」 俺が頷くと夏奈は俺の服の裾を引っ張った。 「ならカラオケしましょうカラオケ! この鬱憤(うっぷん)を叫んで晴らしましょう!」 目をキラキラさせながら言う夏奈。 まぁ、他にすることもないしそうするか。 「じゃあ行くか。言っとくけど定例会までだからな」 「そんなの分かってます!」 俺と夏奈は並んで歩きだした。 そう言えば、夏奈と2人で遊ぶのってこれが初めてかもしれない。 夏奈は、何も思ってないんだろうか。 「楽しみです! 何歌うかで迷います!」 はたから見てもうきうきしている様子の夏奈。 でも今はそんなことを考えても仕方ないよな。 俺も楽しむとするか。
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