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「休講メール来るの遅いっての……」
俺は思わずため息をついた。
学校に着いてから来た所でどうしろというのか。
しかも今日あるのはこの講義だけだ。
友希や坂井もこの講義は取っていない。
部活の定例会までまだ2時間はあるし、だからといって定例会を休む訳にもいかない。
さて……どうしようかな。
そんなことを考えていた時だった。
「えっ、休講?
そんな不意打ちずるいですっ!」
俺のすぐ横で夏奈が分かりやすく頬を膨らませていた。
ていうか、口に出していうなよな。
俺はたまらずに吹きだした。
「夏奈も休講なのか?」
「あ、ツバキ先輩!
そうなんですよ、友達も何も教えてくれなくて!」
夏奈は相当ご立腹な様子だった。
しかし、夏奈は首を傾げた。
「……今、先輩もって言いました?
もしかして先輩も休講なんですか?」
「あぁ、そうだけど」
俺が頷くと夏奈は俺の服の裾を引っ張った。
「ならカラオケしましょうカラオケ!
この鬱憤(うっぷん)を叫んで晴らしましょう!」
目をキラキラさせながら言う夏奈。
まぁ、他にすることもないしそうするか。
「じゃあ行くか。言っとくけど定例会までだからな」
「そんなの分かってます!」
俺と夏奈は並んで歩きだした。
そう言えば、夏奈と2人で遊ぶのってこれが初めてかもしれない。
夏奈は、何も思ってないんだろうか。
「楽しみです! 何歌うかで迷います!」
はたから見てもうきうきしている様子の夏奈。
でも今はそんなことを考えても仕方ないよな。
俺も楽しむとするか。
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