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もう合宿の時期か……。
美代先輩の言葉に皆騒いでる。
私、参加できるのかな。
幸助が許してくれればいいんだけどな……。
「……梓、わ、私はそうは思ってないよ」
「いけるって! ツバキ先輩もぜったいまんざらじゃないって!」
私は2人の会話をちらっと耳にする。
夏奈ちゃんは顔を真っ赤にしている。
……ツバキのこと好きなのかな。
それに、ぬいぐるみを抱えて今日も来てたし。
前なら私だけだったのに……。
ツバキからぬいぐるみを貰えたのは……。
何か、複雑な気持ち。
「もう、ちょっとトイレ行ってくる!」
夏奈ちゃんは逃げるように席を立ち、外に出た。
「ゆず先輩は最近彼氏とどうなんですか?」
梓ちゃんが私に声をかけてくる。
正直、うまくいってない。
大人っぽい幸助に惹かれたはずなのに、
今はその大人っぽいところに私は少し困っている。
私が答えに窮してると梓ちゃんは苦笑した。
「ゆず先輩、可愛いのに苦労するんですね。
今度の合宿でたくさんお話しましょう!」
「それが行けるか分からないんだよね」
「え!? 何でですか?」
私は訳を話した。
幸助が私が行くのを余り良く思っていないこと。
最近連絡が来ないこと。
会ったとしても少しの時間しか会えないこと。
聞き終えた後、梓ちゃんはため息をついた。
「ゆず先輩、それって別れた方がいいんじゃないですか?」
それでも私は、たまにみせる幸助の優しさが好き。
確かに寂しいけど、我慢できる。
あのツバキを振ったんだもん。
我慢しないと……。
でも何だろう。
ツバキは他の人と付き合って欲しくない。
こう思っちゃう私は子供なのかな。
ううん、子供でいいんだよね。
私は席を立った。
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