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来ないなぁ。
私はさっきからずっと携帯を見ているが、
いつまで経っても幸助から返信が来ない。
何してるんだろう、幸助。
今日は仕事すぐ終わるって言ってたのになぁ。
もしかして浮気とか……。
いや、違うよね。
付き合ってばっかりでそんなことするはずない。
でも……。
ツバキならすぐに返信してくれたのになぁ……。
私は何気なく昔のツバキとのメールを読み返していた。
懐かしいなぁ。
デートの誘い、喧嘩、どうでもいい話。
文字だけなのにツバキの気持ちまでこっちに伝わってきた。
でもこんなこと幸助に悪いよね。
全部……消さないと……。
私はツバキからのメールを全部消そうとした。
『柚香、明日はどこ行こうか』
『柚香と一緒にいる時間が一番好きだよ』
ふと甦ってくるツバキとの記憶。
……今日は消さなくてもいいよね。
また今度にしよう。
私は机の上のフォトフレームを見る。
2人で動物園に行った時に撮った写真。
私はその写真に手をかけた。
……明日バイト朝からだったなぁ。
そろそろ寝ないと。
私は電気を消してベットに入りこんだ。
机の上の写真の私達は、笑ったままだった。
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