序章-朝もやと電車

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 では皆さん、今日から一ヶ月の春休み、健康に過ごしてくださいね。  担任のその言葉で、それまであった学校に通う僕の日常は一ヶ月の間だけ春休みへとなりかわった。  今までの春休みは別段変わったこともなく、ただただ一ヶ月を健康的と言えなくもないようなスタイルで過ごしていた。 例えば、一日中寝てるとか。 テレビで紫外線は体に悪いとかなんとか言ってたのをいいことに、そうしていたり。  悪く言えば、自堕落で怠惰でだらしない生活だ。 良く言えば…………なんだろう。 良い言葉が見つからなかった。  それは、僕の語彙が足らないからか、それとも僕の生活に誉める点が一つもなかったからか。 どちらにせよ、僕のせいである。  しかし、今回の春休みは違う。 高校二年生の春休み、つまり高校三年生への準備期間。 なんてったってこの春休み全てを僕は日本の首都であり現在地、東京では過ごさないのだから。
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