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1年4組の教室の前で足を止める。 今日からここが、私の天国(パラダイス)―――。 ノリがパリッと効いてる新しいシャツの胸ポケットからコンパクトを取り出す。 淡い桃色のコンパクトが、窓から入ってくる光を反射する。 ナチュラルにラインを引いた丸めの瞳。 チークなんて必要のない血色のいい林檎色の頬。 そばかすをきちんと隠した白い肌に映える、小さな果実のような唇。 大丈夫。いつも通り。 いつも通り――――可愛い。 パチンとコンパクトを閉じると、私は深呼吸をして教室の扉を開けた。
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