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……あれから、60年は経ったんだべか。
久美は、最期まで勇平を待っていた。
勇悟も今ではもう、じじいになって、今ではたまに孫が遊びに来る。
今年の夏も勇悟の孫が来て、勇悟といっしょに川へあそびに来た。
「勇太、ここの川にはな、河童がいるって言い伝えがあるんだ」
勇悟が、孫の勇太に話しかける。
「え?河童いるの?じいちゃん見たことある?」
「いいやぁ、じいちゃんは見たことないなぁ。だけど、じいちゃんの父さん……おまえのひいじいちゃんは河童と友達だったらしいぞ」
勇悟のその言葉に、おらは少しだけ、驚いた。
「ひいばあちゃんの話によると、ひいじいちゃんは小さい頃からよくこの川にキュウリを持って遊びに来てたんだと。だからひいばあちゃんは、きっと川の河童と友達になったんだろうなぁって思ってたって」
勇悟は懐かしそうに目を細めて笑った。
「じいちゃん、おれ、また妖怪の話聞きたい!」
「おお、そうかそうか。じゃあ、帰ってスイカを食べながら話そうか」
「うん!」
初めて会った時の勇平によく似た勇太は、そのまま勇悟に連れられて、帰っていった。
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