414人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
握り締めた手にふわりと手がかぶさった。
「………ぁ、」
顔を上げると秀が俺の手を握り優しく微笑んでいた。
目から涙が溢れる。
「…しゅ…っ」
目が、さめたのか……?
抱き締めたいのに苦しくて力が入らない。
謝りたい事が、言わなくちゃならないことがあるのに声が出ない。
伝え、ないと、
「大丈夫。分かってたよ。渚がいつも僕の傍にいてくれたこと。」
秀がまた笑うと俺の髪をやさしく撫でた。
「いつも僕の名前を呼んでくれてたこと。」
その手が降りて唇に触れ、
「いつも僕に謝ってたことも。」
唇が重なり、一瞬の啄むような優しいキス。
「全部分かってるから、」
「秀…っ」
何も言わなくていいと言うように俺は秀に抱き締められた。
最初のコメントを投稿しよう!