序章~†の組†伝説

2/10
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/208ページ
ここに一人の男がいた。 哀「何か売れそうなもんはないかなぁ?」 哀雄山(あい ゆうざん)。この物語の主人公だ。 哀「出来たら、親父にバレないくらいの小物で、高い値の付くのがいいんだけどなぁ?」 商家生まれの哀は、家族に内緒で、艶本を購入する為の資金集めに、家の蔵を物色していた。 「哀さん?」 隣家で医師を営む、りんの家からは、哀の愚行が丸見えだった。 哀「あれ?りんちゃん…。どうしたの?また構われに来たの?」 哀は、動機を悟られないように、りんをからかって見せた。 りん「…やぁねぇ…。家族の中に盗っ人がいるなんて知ったら…。きっと…哀さん、市中引き廻しの上、磔獄門(はりつけごくもん)だよ♪」 にっこりと嬉しそうに言うりんに、哀は背筋が凍く思いをした。 哀「ぬ、ぬ…盗っ人なんて…とんでもないですよ!いや、あれですよ!ホラ、大切な我が家の宝物(ほうもつ)を…きちんと見張らないと…。ね?ホラ、どこから賊が来るか、判らないでしょ?」
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!