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少しだけ歩くと、2-Aと書かれたクラスの前で立ち止まる
「此処がお前のクラスだ」
「案外近いんだな。生徒会室から」
当たり前だ、と小さく呟いた。
この学校は生徒会室とその真上にある理事長室を中心に左右対称、どの教室に行くにもなるべく生徒会室から楽になるようにしている。
――生徒会役員のポストは、学校への寄付金が高い奴から順番に与えられているようなもの。
そもそも生徒会役員自体が、学校へ多額の寄付金を納めている家の子息の待遇を良くするための言い訳で、つまりは『生徒会役員は頑張っているからこんなに良い待遇が与えられているんだ』という偽りのシステム。
実のところは寮での一人部屋も授業の単位も食堂で一番良い席を占有できることも、全ては親の金しだいなわけだ。
「じゃ、気楽にな」
そんな生活ばかりの学園で、久賀は大丈夫なのか。心配になって肩を叩くと、表面では“社交辞令”のような顔を取り繕って答える。
すると久賀は驚いた顔をして、そして目を弓のように歪ませて笑った。
「はぁいはい。まぁテキトーにやりますよ」怖じけづくどころか楽しんでいるような久賀が、久賀の肩にのせた俺の手を払い除ける。
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