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2-A。
もう一度その看板を見る。
……何事も無ければいいが、なんて、さっき会った相手に対してそんな感情を持つのは初めてだった。
自分がわからない。
何故、大して知らない相手にこういう感情を持つのか。
小さく頭を降ると、2-Aを背に生徒会室へ戻る廊下を歩き始める。
「……津崎?」
曲がり角を曲がると、腕組みをした津崎がどこと無く冷たいオーラを醸し出しながら立っていた。
……隣には何時も通り篠村が欠伸をしながら立っている。
「生徒会会長に対して、風紀委員長の権限を行使する許可を理事長からもらった。
意味、わかるよね?」
ニィ、と三日月の様に歪められた唇。
風紀委員長の権限……それは、風紀を乱す者に対して罰を与えることを学校が黙認する……というもの。
生徒会役員が過ぎた真似をした時に使われる“ソレ”は、創立以来一度しか使われたことがないのだとか……。
それを、何故津崎が?
確かに生徒会と風紀は仲が悪い。
だがそれも去年までのことで、半ば無理矢理生徒会役員になった篠村が風紀委員長の津崎にベッタリだったたこと、俺と津崎が割と気が合うことから、今年の生徒会と風紀は仲が良いと評判だったのだ。
だのに、何故。
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