1 だって俺は生徒会長。

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「私、津崎トオルは、数々の校則を破った生徒会会長一宮照彦に罰則を与える。 なお、証人として生徒会副会長篠村。」 「はい」 廊下に朗々と津崎の声が響く。 続いて、少し低い篠村の声。 至極真面目な調子の津崎と違い、ニヤニヤと笑いが抑え切れていない篠村を睨んで、口を閉じる。 何を企んでるんだよ、津崎。 十中八九、企みは転入生に関わることだ。 津崎は昔から転入生が来る度に騒ぎを起こしてたから……。 「罰則1、これから1週間、性行為を禁止する。 勿論自慰もな。 これは、校内での不埒な行為に及んだことに対して。 全く、何人の男が保健室や準備室で泣いたと思ってんだよこの絶倫め」 ぴし、と立てられた指とその条件。 想像以上にまともだ……。 津崎のことだから、「もっと橘先輩に優しく!」とか、「裸でバラを持ってキメ台詞!」みたいなものかと思ってたのに……。 隣で何故か篠村が肩を震わせて笑っているが、笑うような条件か? 「その二。 授業に欠かさず出ること。 期限は一ヶ月。 少しでも休んだりしたら承知しねぇよ? 確かに一宮はイギリスに居た時、家で家庭教師から高等教育まで受けてまぁ頭はいいらしいけどさ、やっぱり授業は出ないと。 最近点数も下がってるって聞いたぜ? 一宮の栄光ある次男がそんなんじゃダメだろ」 中指も上がり、二本の指が立つ。 相変わらずまともでツッコム場所もないその言葉に出かかった文句の言葉を詰まらせる。 なんだ、何でこんなにまともなんだ。
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