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昔、津崎は問題を起こしたことがある。
それは上手く篠村の家が揉み消したから、ウワサでしか俺は知らないが、どうやら津崎は、“物事全てを思い通りにしたい”という欲求があるらしい。
――――だからなのか、津崎は自分に逆らう存在に容赦ない。
愛くるしい笑みも、見る限り害の無さそうなコトバも――……。
全ては、自分の考えるストーリーに従わせるためのもの。
「ま、これだけ守ってくれればいーよ」
……それなのに、軽くそう言う津崎に寒気がする。
こんなマトモで普通で、(津崎にとって)何の価値もないようなことを津崎がわざわざするはずないっ!
「津崎、今回は何考えてんだ?」
「そりゃあ、学園の愛と平和だろ?風紀委員長としてな!」
……ダメだ、さっぱり見当が付かない。
性処理の禁止とサボりの禁止。
それで津崎は何が得になるんだ?
「じゃあ会長様?そろそろクラス行かないと一時間目が始まっちゃうぜ?」
隣で半笑いの篠村はむかつくが……。
俺は、先程背を向けたクラスをもう一度だけ見る。
2-A。
――クラスに行くのは一ヶ月ぶりか。
寄付金の高い順から生徒会が決まるこの学園では良くあることだが……実は俺はまだ16歳、いや今日で17歳の高校二年生だ。
生徒会には年功序列は関係ない。
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