1 だって俺は生徒会長。

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パタム、と生徒会室の重厚な扉を閉める。 立ち上がってみてやっと分かったのだが、この転校生、俺よりも少し高い。 本当に日本人かコイツは。 「――お前、一宮照彦だろ?」 「は?」 「一宮財閥一人息子の一宮照彦だろって聞いてンだよ!つべこべ言わずに答えろやドアホ」 青天の霹靂とはまさにこのことで。 耳に付けたピアスを弄くり回しながら聞いてくる転校生、久賀には先程の好青年ぶりは全くなく――あるのはただ傲慢な物言いと見下すような視線。 「ったく、だからお坊ちゃまは相手したくねぇんだよクソが……」 な、なんだよこの豹変ぶり! まるで人懐こい猫が実はライオンだったようなショックだ。 久賀はチッ!と舌打ちするとすぐ近くの階段に俺を抑えつける。 って、えぇぇぇぇっ! 180越えの大男二人がこんなのおかしいだろ!……く、久賀はもしかして! 「久賀、お前、俺に抱かれたいのか?」 確かに俺が入れ食い状態の絶倫俺様な生徒会長だが……久賀は抱ける気がしない! 「はぁ?なんでお前に抱かれなきゃなんないの」 ですよねー! こんなタッパのある奴がネコなわけねぇよな。 じゃあこの姿勢はなんだ。 「俺は、お前を抱きたいの」 その瞬間。 俺の毛穴が一気に開いたような鳥肌に襲われ、久賀の鋭い瞳に射ぬかれたように身体は麻痺し、バクバクと心臓は高鳴ってそして―― 「わかる?」 ダダダダァーン! と、“運命の扉が開く音”がしたのだった。
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