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(津崎Side)
「――納得いかない」
すぅっ、と目を細めると生徒会室にある長机に腰を下ろす。
腕を組んで二人が出て行った扉を睨みつければ、田村から肩を叩かれた。
「まぁ……普通に考えてそんなに簡単に津崎チャンの理想が現れるわけないっしょ」
「わかってるよ!」
思わず声を荒がらせてしまうけど、それもしょうがないと思う。
長年の夢、長年の努力。
それが今、ぶち壊されたんだっ!
「……なんでカツラもしてない、眼鏡も掛けてない、ただバカ面曝してるような奴が転入生なの!?
最ッ悪!」
むぅ、と頬を膨らませる。
この表情が女の子から遠ざけられた男子の欲を煽ることは事前に確認済みだ。
――津崎トオル。
普通の学園じゃ“女顔”なんてバカにされそうなこの顔も、この学校に限り武器になることを知った。
現に今、俺は俺の家柄や成績を考えれば到底考えられない高いポストに着いている。
「こんなコトなら始めから俺が王道転入生となるべきだったッ!
クソッ!
あいつ、久賀裕也ぁっ!
絶ッ対に許さないからな!」
バン!
と思い切り机を叩くと、篠村が思い出したように言う。
「あ、そういえばさ、アイツ、久賀な?俺が敬語無理してるって会ってすぐに見破ったぜ?
まだ諦めるには早いンじゃねぇの?」
「それ、本当?篠村」
「俺が津崎に嘘つくはずがないだろ?」
――今、もし誰かが俺のオーラを見ることができたなら……そのオーラは、真っ黒に染まっていただろう。
――この俺、津崎トオルの名に賭けて!
久賀裕也を総受けにしてやるッ!
まずは……
「田村、理事長に電話して。ふふっ、この津崎トオル、校内可愛い男子ランキング1位の人徳を見せてやる……ッ!」
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