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10月30日深夜。
薄暗い室内に、何処からかネズミの鳴き声のような音が微かに聞こえる。
やがて音が止むと、天井の隅の方で換気孔の蓋がカタンと揺れた。
直後にそれが床に向かって落下する。
ほぼ同時にポッカリと開いた四角い穴から黒い影が舞い降り、まさに冷たい床に衝突しようとしていた換気孔の蓋を受け止めた。
「おいおい、音を立てないでくれよ。仕事はまだ終わっちゃいないんだ」
立ち上がった男は肩を竦め、手にした換気口の蓋を床に置いた。
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