序章

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今、オレ達はヌース村から二つ目の休憩ポイントで野営をしている。 王都までの行程を考えると、まだ1/6くらいの場所になる。 辺りは夕刻を過ぎた頃から急速に薄暗くなり、現在は殆ど景色が見えないくらい闇が覆っていた。 しかしオレ達の周りだけは、白い光の輝きで覆われている。 この灯りの源は、アーサーが持っていたショートソードの柄(つか)の部分。 アーサーがショートソードを地面に突き刺して固定させると、その柄の部分にメルヴィナが光の魔法を掛けたのだ。 彼女が精神を集中し、持っていたロッドで、ショーソードの柄に触れる。そして 「ライト」 彼女が魔法を唱えると、柄の部分が白く輝きだし、半径10m近くを魔法の灯りで満たした。 この魔法は10時間以上はもつらしいので、夜中に消えてしまう事はない。 食事や暖をとるための火も「ティンダー」という魔法を使って熾(おこ)していた。 魔法って案外、便利なものだ。文明の利器が発達していないのも仕方ないのかもしれない。 とはいえ、ルーンマスターは絶対的に数が少ない。 そう考えると、このメンバーの中にルーンマスターが二人もいるのは、ちょっとした事なのではないかと思う。 しかも攻撃魔法と回復魔法でバランスもいい。 この4人がパーティを組めれば活躍の場が広がりそうだが、こちらはテンプル・ガードで、あちらはギルドのハンター。 同じ仕事でも受けない限り、残念だが行動を共にする機会は無いのかもしれない。
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