序章

6/10
前へ
/10ページ
次へ
まさかとは思うが今後、ダリウスと話す時はメルヴィナの通訳が必要とか云うんじゃないだろうな。 などとオレが的外れな事を考えている内に、アーサーが 「実は俺も王都の神殿に行って、そこで任務を与えられるって事しか知らないんだ」 そう言ってエステルの方を見る。 アーサーの視線を受けたエステルが、改めてダリウスとメルヴィナの方に顔を向け直すと、静かに話し出した。 「テンプル・ガードの事や任務に関しては、クレメント司教にお伺いする様にと、エルマ様から指示を受けています」 言いながら懐から、司祭より預かった手紙を取り出す。 開封されていないその手紙は、恐らくクレメント司教とやらに渡すものだろう。 開けてみる訳にもいかず、また懐に戻すエステル。 「行ってみるまでは、分からないって事だね」 アーサーの言葉に頷くエステル。ダリウスは「そうか」とだけ呟いていた。 (クレメント司教ってどんな人なんだ?、オマエは知ってるのか?) オレがアーサーに質問すると 「クレメント司教っていうのは、神殿のNo2で・・・」 説明しようとして、ダリウスとメルヴィナに気付き途中で止まってしまう。 メルヴィナが「どうかしたの?」と訊いてきた。 泳がせた目を最終的にエステルに向けるアーサー。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加