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「ロイ、今日も補習だが大丈夫か?」
「は、はい。頑張りますガラシリア先生」
ちなみに唯一の友人(仮)になったロイは、魔術の基礎がなさすぎるという事で一人特別補習が組まれていて、話す暇がない。
若干やつれ顔のロイは少し心配だが、人体強化についての講義中に見せる無茶苦茶な身体能力(人間かどうか悩むレベル)を見る限り倒れるとかそういったことはなさそうだ。
「…帰るか」
友達(リザ)と通うことが出来なかった独り者が取れる行動は自習か帰宅。
自習をするほどの熱意はないし、家に帰れば地獄の予習が待っているから……
もうこんなに勉強したくないっ!!
「……?」
ちくり、と背中に人の視線を感じる。
振り向くとそこにはこちらを見ている危険人物姉妹の妹。
「……」
じっと視線を合わせてみるが、レナさんは一切動揺することなく、こちらから目を逸らさない。
え。なにこれ恐い。
「はい、おしまい」
レナさんの視線を遮ったのは手。
姉の方であるミラさんが、レナさんの顔を手で覆った。
「……帰るわよ」
ミラさんがレナさんをクルリと後ろに向かせ、廊下の外へと押し出す。
そのまま、二人は廊下へと消えていく。
その後に残る教室はこの一週間通い慣れたいつもの風景。
俺は毎度変わらず鞄を手に、帰路につく。
はて、
なんで俺は姉の方にも睨まれたのだろうか?
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