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「亜依ちゃんと別れてから、笑ってた。だけど、すごい寂しそうだったよ。あんなの、見たことない」
笑うとふくよかな顔の肉が持ち上がる。穏やかな声は、背中を押してくれた気がした。
「うん」
「ナオが来たら、伝えることあるかな?」
「うん。会いたいって言って下さい」
「うん。伝えておく」
「好きだって、言いに行くって言ってください」
「うん。わかった。任せて」
またカランカランと鐘の音を聞いて、店をあとにした。
どうしようかな、と思った。ナオが実家に帰ってないことだけは分かった。だけど、何をしてるか分からなかった。
自然と車はナオの家に向かっていた。悪あがきにも程があるかもしれない。
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