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はっきり言って、修介は馬鹿だ。
しかし、やる時はやる男なので修介の全てが馬鹿だとは限らないのだが。
「どう? この俺の裏をかいた作戦」
「……やはり貴様は馬鹿の極みだ」
「な、何!?」
修介は、自分の考えを完全に否定され、明らかなオーバーなリアクションで驚く。
刹那は弁当の白米を2、3口頬張って、噛んで飲み込むと、修介に考えの甘さを伝える。
「まず、お前の寮は女子の立ち入りが禁止されている。さらに、お前に近寄るような女子がこの学校…いや、この街に存在しない」
「露骨に悪口言ってますよねぇ!」
「落ち着いたらどうだ。一部の女子は近付くだろう。忘れてはいけない」
「アレは仕事関係だし、しかもかなり特殊な連中ばっかりだ!」
「よし、その事を彼女達に伝えておこう」
「ちょ、やめ…」
刹那は懐から虹をモチーフにしたストラップの付いた青い携帯電話を取り出し、メールをこの学校の“生徒会長”に送る。
「む、早速返ってきたぞ」
「ゑ!?」
「ふむ…。『そうか。ならば個人的に話し合いが必要のようだ。今日の放課後にでも実施しよう。生徒会室にて待つ』だそうだ」
「いやああああああああああああ!!」
「それと付け加えだ。『もし来なかった場合はわかっているな? 自身の人格を保ちたくば来る事だ』」
「…あ、あはは」
涙を流しながら修介をコンビニ弁当をガツガツと腹の中に入れていく。
刹那はこう見えて結構気さくな人間だ。
しかし、それは刹那自身が認めた人間の間でしか見せない。
刹那は家族がいない。幼少の頃、殺されたのだ。
それ以来、刹那は心を閉ざしていたが、修介とは別の幼馴染みが刹那の心を開いた。
それでも、まだ完全に開いていないところもある。
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