携帯電話

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ぼくは"子供用ケータイ"を持っている。 ボタンを押すとかーさんに繋がるやつ。 ちょー簡単。 ボタン押せばいいんやし。 でもうちのばあちゃんはまだ、それすら持とうとしない。 「孝志ー!おばあちゃん、どこ行ったか知らん?!」 「知らーん」 「うそー…今日は出かけんといかんで留守番頼みたいのにい…」 「ケータイかけたら?」 「ケータイなんて持ってないでしょーが」 リビングに出した顔をそそくさと引っ込めて、かーさんは家の中を捜索し始めた。 さっき、玄関の開く音した気がしたんやけど。 外やないの? 「かーさん!ぼく、外見てきたろかー!」 「危ないからダメよー」 「いいやん!林さん家までしか行かんし!」 「うーん…じゃあお願い!」 再びリビングに顔を出したかーさんは、眉毛をハの字にしていた。 困ったときの顔だ。 ぼくが助けてあげんといかん。 ぼくはWiiを放り出して、ばあちゃんの捜索を開始することにした。
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