携帯電話

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公園みたいに木がたくさんあるお寺のそばに、お墓はある。 前にかーさんに教えてもらった通りに縦と横の通路の数を数えながら歩くと、じいちゃんのいる場所に着けた。 「……ばあちゃん」 見つけた。 手を合わせるポーズのまま全然動かんばあちゃん。 ちょっと怖くなって呼んでみても、まだ動かん。 「ミツさーん」 声を大きくする魔法のポーズで呼んでみる。 そうすると、ばあちゃんはビクッとしてからこっちを見た。 「孝太郎さん…?」 コータローさん? 「孝志やよー!迎えに来たーっ!」 手を大きく振ると、ばあちゃんは「よいせ」と言って立ち上がる。 にこにこした顔で頭を撫でて「ここまでよー来たねぇ。えらいえらい」と言った。 もう小学校の中学年やで、やめてって言っとるのに。 ……なんか知らんけど、この時はなんにも言えへんかった。
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