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「ばあちゃん」
「んん?」
「コータローさんってだれ?」
ばあちゃんは一瞬石化した。
でもぼくが回復魔法を使うよりも早く、元に戻ってまた笑った。
今度はちゃんと。
「じいちゃんの名前だよ」
「コータローさん?」
「そう、孝太郎さん。ばあちゃんは一回も呼べなんだけどなあ」
「…じいちゃんが呼ぶなって言ったの?」
「いんや」
続きが聞きたくて繋いだ手をぶんぶん振ると、ばあちゃんはギュッとぼくの手を握って。
言った。
「恥ずかしくて呼べなんだ。じいちゃんも頑固者で、お互いに面と向かっては一回もなあ…」
オミアイケッコンやとそんなもんや、とばあちゃんは言う。
やけど、それなら。
「…なんで泣いとんの……?」
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