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考える暇は無かった。足元が砂の如く奈落に散り落ち始めた。
ふざけんな!馬鹿!ぜってぇ許さぁん!顔見せやがれ!こんちくしょう!!
慌てて階段を駆け上がる。苛立ちは隠せない。見えない誰かを罵倒しながら、軽やかに階段を上る俺。
『見ていて素晴らしいですね。階段を軽やかに上る様は芸術的でもあります』
マジでふざ……けんな!ハァ……だいたい人をゴミクズみたいに貶しやがって……フゥ……顔見せる勇気ないなら名前ぐらい教えろ馬鹿!!
オェッ……
体も心も限界突破。足場が崩れていく音に、焦る俺。
『いずれ死にいくのに教える必要はありません』
んがぁぁぁぁぁぁ!!俺はまだ……まだ死にたくないし!てかっ、死ぬ気もねぇわ!!
勢いでひたすら上っていた俺に見える希望の光。
【危険地帯突破おめでとう】
木板でできたボロい看板。
これで……終わり……
その看板にたどり着くと、そこは部屋の前の見覚えある廊下だった。
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