社会不適応な男

4/6
前へ
/31ページ
次へ
 こんな楽な仕事で月に20万なんて、いい仕事に就いたものだ。 初めはそう思っていた。 しかしながら、古原にとっては実際腹立たしい事の連続だった。 古原は基本真面目な男だ。期日も守るし、ほうれんそうも欠かさない。 しかし、古原の頭通りに物事は進まないのだ。 古原の仕事は依頼主がOKを出して、初めてメールが作成される。 いくら古原が早く仕事をしても、承認が得られなければ古原の仕事は頓挫してしまう。 メールでの期日までの催促。電話での催促。日常茶飯事だった。依頼主の株式会社ベルスは超一流企業だ。社員も多忙を極める。 ベルスの下請けであるのだから、いや、社会人としてこれぐらいは当然の事なのだ。 しかし、古原にとっては苦痛の種筆頭であった。 自分の力で解決できない。我慢はしているものの、不満だけは募っていった。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加