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梅雨、ざわめく心
エレベーターのドアが開くと、「また、そんなこと言うの?」とケラケラとした明るい笑い声が聞こえた。
少し伸びた前髪が邪魔で、一度かきわけてみると、目の前には広重がいた。
意識せずにはいられないのに、付き合う前と同じ私にならなければならない。
広重をうざいとか、思っていた頃の。
「水谷っちさ」と広重は私に気が付いていないみたいで、隣に立つ、彼の同期の水谷(ミズヤ)めぐみに話しかけていた。
彼だって変わらない。
彼女とだって、前から仲が良かったのも私は知ってるし。
こんな光景なんて何度も見かけた。
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