誘われない花見

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「千花さん着きましたよ」 そう言って降ろされたのは公園だった。その奥に彼の家があるらしい。 滑り台の横に、大きな桜の木が一本。けっこう大木。樹齢は何年だろうか。 確かに桜はあるけど、花見といったムードがないのは、人もいないし出店もないからだろうか。 「俺、毎朝ここ通って会社行ってます」 「ふうん」 「今日の朝、見たら満開だったから、誰かと見たいなと思ってて」 意外に可愛いこと言うな、広重。 ランチだけじゃなくディナーまでも過ごすと思いもしなかった。
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