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◇
「田原さん。今日のお昼はお弁当ですか?珍しいですね」
12時にお昼のチャイムが鳴る。
その直後、鞄の中から黒のランチバッグを取り出した田原さんに、偶然を装った顔の私はそう訊いた。
「うん。弁当なんだ」
「自分で作ったんですか?」
「まさか。俺がそんなマメなことするタイプに見える?」
「見えませんね。今日は珍しく彼女が作ってくれたんですか?」
そう言って微笑む。
次に言われる言葉を知りながら、それでも笑わなければいけないと知りながら、私は訊きたかったんだ。
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