媚び売りの桜

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遡れば、何年前になるのだろうか。 そう遠くは無い筈なのに、何故か遠い昔の話の様で。 過ごした年月の体感が余りにも長かったのかもしれない。 2年と、少し前。 丁度春休みに入る前の、まだ少し寒い日の事。 鮮明に覚えているのは、当日の僕が弱かったからなのか、 今の僕が冷静だからなのか。 何もかもをそつなく…否、むしろ優秀に熟してきた僕が 唯一巧く繕えなかった傷跡。 「…姉さん」 多分、今も巧く繕えない 古くて深くて、痛い、傷跡。 そんな傷跡に触れられる処か、傷を抉った奴が居た。 僕は、自制心を失った。 あれ以来、僕は一人だった。 誰も僕に近付こうとする奴など居なくなった。 僕も、近付こうなんて思っていない。 昔から媚びる事も偽善者振るのも苦手で不得意で、大嫌いだったから。 それでも、時々。 誰かが隣にいたら、僕はどうしているのか 問いたくなる 誰かに居て欲しいと、 心の何処かで思っている自分が居る。 .
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