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駆side
ザシュッ
俺は手に持った剣……雷切を振るい、闇精霊(ラルヴァ)と呼んでいるモノを斬った
「大丈夫かゆか!?」
俺の問いにゆかは慌てながら答える
「大丈夫だよ駆くん」
「おい駆、俺が片付けるから時間を稼いでくれ」
少し離れた所から賢久が俺を呼ぶ
「わかった!」
俺は答えて賢久の所へ走り、賢久の周りの闇精霊を斬っていく
そして賢久は集中し、少ししてから
「待たせたな駆、うおらぁ燃えつきろぉ!」
この辺一帯を炎が包み込み、闇精霊達が燃えていく
念発火能力(パイロキネシス)だ
「へへっ、ざまぁみろ」
炎が消えた時には既に闇精霊は全て燃えて消えていた
「流石だな賢久」
「へへっまあな、だけどもうガス欠だ」
そう言いながら賢久はタバコに火を灯して吸いはじめた
「大丈夫?駆くん」
ゆかが俺を心配してくるが
俺はゆかの方が心配だった
ゆかは俺の幼なじみで、俺や賢久みたいに戦う力もない
この赤い夜では守られるしかない、とはいえ俺もこの前まではそうだった
「おい駆、そろそろ美鈴先輩たちと合流しようぜ、多分学校の方にいるはずだ」
俺は頷き、同意の意を示して歩き出した
「しっかしあの黒い月も赤い夜も不気味だよなぁ」
移動中賢久がそんなことを洩らす
「確かにな」
俺は空に浮かぶ黒い月を見上げながら答えた
赤い夜……いつも突然現れる世界、現実にそっくりだが風景の全てが赤い
時間が経てば赤い夜から戻れるが、現実世界では時間が経ってなく破壊した物も反映されない
ちなみに賢久とは赤い夜で知り合った
「………っ!?」
「どうしたの駆くん!?」
「どうした駆!?」
二人が俺を心配して声をかけるが俺は二人を不安にさせたくないため、適当に流す
「なんでもない」
「なら良いんだけど……」
「ったく、あんまり心配かけさせんなよ?」
一瞬、俺の右目…劫(アイオン)の目が何かを見た……劫の目は多少の未来が見れるが、こんな未来はおかしい
本当に一瞬だったが、黒い月が黄緑色をしていて…風景の全ても黄緑色をしていた……
気のせい…だと良いんだが
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