予兆

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商店街の裏路地に向かい、そこにひっそりと立つ青白く光る扉を開ける 開けたと同時に意識が一瞬なくなり、意識が戻った瞬間にはベルベットルームに置かれた椅子に僕は座っている 「ようこそいらっしゃいましたな」 目の前にあるテーブルの向こう側に置かれているソファーに座った老人が喋る ちなみにベルベットルームは、巨大でオシャレなエレベーターのようなものと思ってほしい 「今宵、あなた様をお呼びしたのは他でもありません あなたも感じたでしょう?影時間に更なる変化を」 「ああ」 あの月と赤い風景のことだと思い、曖昧に返す 老人……[イゴール]は頷きながら続ける 「既にあなたは感じているでしょうが、近々この世界に大きな変化が現れるでしょう その時あなたは切り開かねばなりません……」 「何を?」 途中で途切れた話に相づちを打つとイゴールは続けた 「己の運命とあなた様のペルソナ……オルフェウスの運命をです あなた様はペルソナを自由に付け替えられる力を手にしましたが、あなた様のペルソナはあくまでもオルフェウスなのです」 「待ってくれ、よく意味がわからない」 僕の問いにイゴールは首を横に振る 「今は分からずともその内理解できるでしょう、オルフェウスはあなたの力でありあなたの分身 あなたがこういった運命だからオルフェウスを手に入れたのか それとも あなたがオルフェウスを手に入れたからこその運命なのか それすらもあなた自身で理解するのです」 「その内わかるならどうでもいい、話はそれだけ?」 「はい私の話は終わりでございます、さぁお行きなさい……力を手に入れし者よ」
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