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「よし!。まずは一人目から行こう。5つ先の三吉駅。発見時刻は6:50。次の電車に乗るんだ」
朝からヤル気満々の野宿者に対して、学生組のヤル気は1名にしか見られなかった。
さすがに朝日が出ていてもこの時間は、いつもと空気が違う気がした。冷たい匂いがする。
ヤル気満々のカナエといえば、すでにポッキーを食べ始めている…ちゃんと朝食食べさせたのに。
端本さんの調べでは、7人の死亡時間、駅もバラバラ。
あえて共通点を探すのであれば、
「朝の通勤時間」
「北武線」
「サラリーマン」
くらいだった。
当然手がかりとしては、
「いつ・どこで」
がわかっている電車内を調べるしかないのだが…
「まず一人目」、と言うからにはあと6回こんなことをしなければならないのか。
いつもより1時間も早く起きるというのは、意外と大変なことなのだ。
ましてやそれが自分のためにならないことなら、なおさらだ。
冬でもないのに、はぁ~…と吐いた息は、白くふわっと現れたような気がした。
…そして到着した8両編成の満員電車に乗り込む。
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