218人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は仰向けでベッドの上で目覚めた。
鼓膜を圧迫する耳鳴り。
不協和音となって鳴り続けるベル。
”ジリリリリン”
どうやら目覚まし時計の様だ。
俺は脳髄を刺激し続ける、不愉快な目覚ましを止める。
辺りは明るく、すでに朝日が差し込んでいた。
寝惚けた頭で記憶を探る。
俺の名は春輝(はるき)吉岡春輝だ。
今は2020年、東京。
新世紀を迎え日本は、いや世界は、画期的に発展していた。
ふと、時代錯誤した目覚ましに目がゆく。
今時、こんな時代錯誤の目覚ましを使っているのは俺位のもんだ。
周りからは、爺臭いからやめろって言われるんだが・・・
どうもこれでないと駄目なんだよな。
俺なんかは、アンティークな感じがして、好きなんだが。
それはさて置き今日は伯父から、伯父さんが経営するシンフォニー・リュームに招かれた、招待状が来てたんだった。
シンフォニーリュームと言うのは、簡単に言えば、海の中にある水族館だ。
只水族館と違うのは、泳いでいるのは飼われた魚じゃなく、自然のものだが。
水族館とテーマパークを合わせたものを、想像すると良いだろう。
これは伯父さんが考え出したもの。
伯父は、何と言っても吉岡カンパニーの社長なのである。
吉岡カンパニーは、日本の80%の物流シェアーを占める大企業である。
俺が子供の頃はよく一緒に遊んで貰ったもんだ。
それが今や吉岡カンパニーの社長だもんな。
でっその三男、うちの親父の弟でもある人がまた凄い。
英樹画伯その人だ。
まったく嫌になってくる。
いったい家の親父は何をしてたんだか。
最初のコメントを投稿しよう!