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夢がそう言いながら無月の体を支えると、無月は安心したのか、体の力をふっ、と抜いた。
夢に体を預ける。
ただ事でないその様子に竜尊も膝を折って無月の体を見て、どのような傷か確かめる。
竜尊
「――切傷、だな。おい無月、誰にやられた?」
鋭く言葉と目を細め、竜尊は無月の傷の経緯を探る。
その間に玖々廼馳が薬を懐から取り出していた。
無月
「……誰、も…悪くないのだ、竜尊」
誰にやられた?と言う竜尊の言葉に無月はゆるゆると首をふった。
横で薬を塗る玖々廼馳に、染みるのか時々顔を歪ませながら、無月はそれでも言葉を繋げた。
無月
「……魁童が…魁童の、力が……暴走している……頼む」
きゅ、と夢の着物を握って無月はすがるように言った。
無月
「魁童、を……助けて…」
懇願、だった。
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