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ああ、と少し乱暴に自身の髪を掻く竜尊の目の前で、二人はくるりと別の方向を向いて身を屈めた。
その二人の目線の先にいるものこそが竜尊のイラつきの原因なのだ。
夢はともかく、あまり顔に表情を出さない玖々廼馳でさえ満面の笑顔でそいつに話しかけ、微笑みかけた。
夢
「だって、竜尊。この人意地悪だねー」
玖々廼馳
「かわいそうに竜ちゃん。泣かないで下さいね」
そう言いながら夢は冗談半分に、悲しげに、玖々廼馳はそれに加えてそいつの頭を撫でた。
そう――犬の。
竜尊の中で何かが「プツン」と音を立てて切れた。
竜尊
「犬に俺の名前をつけるなっ!」
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