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しばらくして落ち着いた知恵理は、クラスメートと一緒に教室を出る。
一階の玄関まで来ると、そこに舞斗が立っていた。知恵理は気まずそうに顔を背けて彼をやり過ごそうと横を抜けようとする。
「遅いぞ……知恵理、いつまで待たせる気だ!」
無神経にも、今さっきフッた相手になれなれしく声をかけて来る舞斗に知恵理はイヤな顔をあらわにする。
「舞斗、今さら私に何の用? 自分に告白してきてフッた女の子を笑いに来たの」
舞斗は人目をはばからずに、いきなり知恵理に抱き着いた! そして彼女の耳元で優しくささやく。
「いつ俺がお前をフッた?」
舞斗の肌とその温もりに知恵理はポーとなっていたが、彼からそう言われて彼女は頭の中で情況の整理を始める。
小切手に1の数字を書いてそれを彼女に渡した後、安い愛だと言い残して一人教室から出て行った彼は確かに! 一言も知恵理を振るような事は言ってない。
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