第1話

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「馬鹿な奴もいるもんだ。そんなモン、仕方なく取った奴から借りりゃあいいだろ」 そう言って4番の男は、マッチを取った。 アサ子は自分の左肩を見つめた。 縫いつけられている数字は『10』。いちばん最後である。 それぞれ順に道具を取り、8番の男が懐中電灯を取ると、道具の箱の中にはスコップとビニールシートが残った。 9番は、頭が鳥の巣かと思うほど髪が縮れた男だった。 彼は「どれを取ってもいいんすよね?」と山田に訊ねた。 山田が「お好きにどうぞ」と答えると、9番は飲料水を1本取り、そして缶詰を2つ取った。 「ちょっと待って、そんな……っ!!」
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