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アサ子は思わず声を上げた。
アサ子としても、残されたスコップとビニールシートに魅力は感じられなかったが、それが不要であったとしてもどちらか一方を選ぶのが当たり前だと思っていた。
彼は自分さえよければ他人がどうなっても構わないのだ。
「恨むなら申し込むのが遅かった家族を恨めよ」と9番は薄く笑った。
「では。今日は1日です。3日の10時にここでお会いしましょう」
***
白い壁と天井に包まれた会議室は、前列から後列へ等間隔に長方形の机が並べられ、そこに申し込み者が散らばって座っている。
前方スクリーンの脇にいる宮本がパソコンを操作すると、天国島の砂浜に集まった死刑囚らがスクリーンに映し出された。
『恨むなら申し込むのが遅かった家族を恨めよ』
風や波の音が混じった声が、スピーカーから鮮明に響いた。
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