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山田らが去ると、アサ子は脱力したように砂浜に腰を降ろした。
――礼二か……。
思わず呆れた笑いが、鼻から漏れた。
暫く、その姿勢のままで海を眺めていると、背中で足音が聞こえた。
細身だがやや筋肉質で、黒く短い髪を後ろに流した三十代後半の男が、砂浜に打ち上げられたゴミの中から、よく燃えそうな枯れ木を集めていたのだ。肩には4の数字が縫い付けられている。
ふと周囲を見渡せば、他の者たちもそれぞれ自分の思うがままに行動していた。
訳の判らないサバイバルゲームとやらに参加させられたという緊張感は皆に見られない。食料探しのためか、草を掻き分けて森へと入っていく者もいるが、まるでキャンプにでも来ているような様子だ。
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