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――気持ちは分かるけど。
アサ子は潮の香りを肺いっぱいに吸い込んだ。
拘置所で外の空気を吸うことが出来たのは、運動の時間のときのみだ。
しかも外と言えど、そこには頭上に網が張られており、常につきまとう窮屈感からは逃れさせてくれなかった。それでも、運動の時間が待ち遠しかった。その気持ちは、おそらく皆も同じだろう。
しかし、アサ子はキャンプ感覚ではしゃぐつもりにはなれなかった。
山田は免罪、釈放としか言わなかったが、ここに居るのは死刑囚ばかりだと判っていたのだ。
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