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「おい、お前。ここがどこだか判るか」
アサ子が顔をあげようとすると、金髪の男がしゃがんだ。
目は剃刀で切ったように細く、鼻は潰れたように低い。吹き出物が出やすい体質なのか肌は綺麗と言いがたいが、皺が見当たらないところや、声の質から判断するに、年齢は20代前半と思われる。
「どこなの?」
自分より年下だと思われる彼に『お前』と呼ばれるのは腹立たしいが、ひとまずそれは忘れることにした。
彼の目には短気さがあらわれていたからだ。気に入らない者には直ぐに喧嘩を売りそうな血の気の多い目だ。
絡まれたら厄介だと案じたが、彼は自分の望む答えが得られなかったにもかかわらず、チッと舌を打っただけで立ち上がった。アサ子に逆らうつもりがないのを認めたらしい。
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