春の日に、君に逢いにゆく。

男は深く皺の刻まれた手で、一枚の写真を取り出します。

あちこちが破れる度に修正され、色褪せ、もう大分傷んでしまった写真です。

写真の中に、若かりし頃の男と女がいます。

慣れない写真撮影に、二人とも顔が強張っていました。

男は瞼を閉じました。

待ちわびた再会を前に、写真を握る手に力が籠りました。