戦火の少女

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こんな時こそ落ち着け、そう一人の少女は思っていた。どちらにせよ気付かれずに離脱するなど無理な話だ。物資とそれを満載した車両の隠し場所まで見付からないというのは不可能な状況だった。こうなれば正面突破しかない。 長めのポニーテールの黒髪を結び直し彼女は携帯していたオーディオのイヤホンの1つを取り出し右耳に付けた。そして、おもむろに胸の下にあるマガジンパウチの中にある本体の再生ボタンを押した。片方の耳は周囲の音を聞くために開けてあり右耳にイヤホンを付けるのは射撃音を避ける為でもあったが何よりもリラックスしてスナイピングするためのクセであり《げんかつぎ》なのだ。  そう、このメロディー いつもの聞き慣れた曲(ポップチューン)だ。コイツがないと始まらない。そう小声で言った。作戦とも呼べない作戦だが生きて帰れる唯一の可能性に賭けるしかなかった。  
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