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ぼんやりとした目を凝らすと、すぐ近くに若い女性が立っていた。
「大丈夫?」
彼女は聞いたが、私は首を少し持ち上げることしかできなかった。
彼女はしばらく私を見ていたが、ポケットから携帯を取り出すと電話をかけはじめた。
「死にそうなビーグルがいるんだけど、連れて帰ってもいい?」
彼女は言った。
『・・・なんですと!?』
その言葉に一瞬で私の意識は戻った。
助かるかもしれない。
『電話の相手よ。YESと言ってくれ』
私は神に祈った。
短い電話を終えると、彼女は再び私を見た。
判決を待つ囚人の気分。
ドキドキ・・・
ドキドキ・・・
「一緒にお家に行く?」
その一言で私は救われた。
私は最後の力を振り絞り立ち上がって頷いた。
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