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猟犬として数年の時が過ぎた。
転機は突然やってきた。
そもそも、私は温厚な性格で猟犬には向いていなかった。
そのため、なるべく獲物を捕まえないようにしていたのだが、ある日サボって山中で昼寝していたところをテツさんに見つかってしまった。
テツさんは烈火のごとく怒った。
様々な罵声を私に浴びせ、挙げ句の果てには勢い余って
「このバカ犬!飼い主の顔が見てみたいわ!」
とまで言った。
鏡があれば見せてやりたかった。
その日の猟が終わると、私は山に置き去りにされた。
早い話が捨てられたのだ。
これで猟犬生活ともオサラバかと思いながら山道を歩いた。
右も左もわからない中で何時間さまよっただろうか。
突然、足元の地面が崩れた。
あまりに突然の出来事に、吠える間もなく私は崖下へと落ちていった・・・
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