第一章:殺意の始まり

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意外そうな目で日向を見ながら、神川とは別の女性が口を開いた。 背中まで伸びた長い黒髪が印象的な、整った顔立ちの美人。 影宮 香菜の他に現在いるのが日向 鈴水、天寺 美夕、神川 深玖ということは、この女性がレイニーメンバー最後の一人、羽舞 優衣と考えて間違いないだろう。 レイニーの中では一番ファンが多いらしいが、この容姿なら納得がいく。 正に清純派アイドルを絵に描いたようなタイプだった。 「あはは……、正確に言えば知り合ったのは今日なんですけどね」 「え?」 いたずらを白状する子どものように告げる日向に、羽舞が僅かに首を傾ける。 「この子、誰にでもすぐに懐くからね。雨池さんたちとバス停前でずっと話し込んでたのよ。香菜さん迎え行くって出てったっきり帰ってこないから、こっちはみんな気にかけてたのにさ」
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