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目を閉じ、その時を待つ。
しかし、いつまで経っても衝撃が来ない。
それどころか、ふーちゃんの寝息が聞こえるくらい静かだ。
恐る恐る目を開けると、校長は相変わらず直立不動でそこにいた。
とても驚いた表情で、信じられないといった様子。
俺がふーちゃんを抱き上げて起き上がったのを見て、ようやく我に帰ったようだ。
「お前…何者だ?」
「…は?」
素で意味がわからない。
そもそもお咎め無しなのが奇跡で、全く他の事はどうでもよかった。
このまま何事もなく平和な日々をエンジョイできーー
「明日、下校時刻過ぎた頃に来い。
話がある。」
「…ハイ。」
ーませんでした。
さようなら青春。
ドスの効いた地声に情けない返事しかでない。
〇リに目覚めた代償が今、跳ね返ってこようとは。
せめてもの餞別とばかりに、ふーちゃんの無垢な寝顔を瞼に焼き付けておこう。
きっと閉鎖空間が自分を待ってるんだ。
…家帰って、言葉書き遺しておこう。
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