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だが、角度が悪かったのか、はたまた神のいたずらだったのか。
ブランコに座る俺。
目の前でブンブンと尻尾を振りながらじゃれる愛犬。
スカート姿で屈みながら犬を囲むようにして戯れる小学生達。
見下ろす視界に飛び込んだソレと無防備な小学生に内心焦りつつ視線を夕焼けに、煩悩を脳内デスクトップのゴミ箱にやる。
すると
「ねぇねぇ」
という問いかけに条件反射で引き戻されるや否や、リード(犬の散歩に使うロープ)が小学生の足に絡まっていたのに気付いた。
屈んだ状態だから仮にしりもちをついても傷の心配は無し、と脳内が処理を終了。
リードを解こうとしたときに問題が発生した。
ほどく為にリードを手繰り寄せる。
その度に、手が幼女の脚ギリギリをかすめるのは避けられない。
もしそれで相手がズボン姿なら何ら問題は無い。
しかし、スカートでナントカ開脚状態の幼女(それも脚部付近)をガン見するのは危険極まりない(特に3人称視点から見れば)が、ソレを見なければ作業は進まないどころか、大変な事になり変態扱いに…。
脳内デスクトップが更新されるのを危惧(きぐ)しながら格闘した。
愛犬が正面の幼女だけをぐるぐる回り、こんな状態にさせたのを少し憂いながら。
―
皆で公園を後にする。
少し薄暗くなってしまったので、1人ずつ家まで送る事にした。
公園から100メートル範囲内の子全て無事送り届け、最後の1人となった。
…そう、先程愛犬がリードでやらかしてしまった幼女だ。
改めて謝る事にした。
「さっきはごめんな…」
「うん?」
幼女はなぜ謝られたのか、理解出来ていなかった。
「俺の犬が…」
「別にいいよ?あ、おうち着いた!ありがとう、バイバイ!」
まるで気にしている様子は無く、むしろ犬にふれあえた事に感謝しているみたいだ。
既に街灯が灯る帰り道。
ふと俺は思った。
みんな俺とは初対面なのに、警戒心無く接してくれた。
…今までこんな事有っただろうか?と。
少ない脳内細胞で思考をめぐらせると1つの考えと、1つの事実を見つけられた。
少なくとも大人には到底出来ない事であり、小学生には容易く出来る事であろう。
全く違う結論なのに理由だけ両者に「なぜ?」と問いかければ、どちらも「当たり前」と返すだろう。
そんな小学生に俺は惹かれたのかもしれない。
良い夢が見られる気がする。
今宵は満月だ。
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