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―信号のない交差点に差し掛かる。
いわゆる横断歩道とやらに来たわけだ。
朝の通勤ラッシュか、交通量が多い。
また、通学路なのか小学生がちらほら。
横断歩道を渡ると歓迎の言葉。
「わあ…」
「小さーい」
など愛犬に言葉をかけて立ち止まる幼j…女児もいれば。
小二病なのか「takeoff!!」などと、
キメセリフらしき言葉を叫びながら颯爽と横断歩道を突っ切っていく男児。
他の男児も釣られるように横断歩道を走った。
「ちょっと待て」と止めようとしたが流石(さすが)小学生男児。
車のクラクションが先のようだった。
慌て横断歩道を渡りきる男児。
先程の威勢はどこへやら。
内心やれやれと一部始終を見守っていると、愛犬と戯れていたロr…女児が屈託(くったく)のない笑顔で上衣の裾を引っ張ってくる。
「ねぇ“おにーちゃん”、いっしょにガッコーいこ?」
ぴくり、と俺の何かが反応。
振り返ってみれば、周りの小学生もそれらしき目で訴えている。
俺は悩んだ末、無言で横断歩道を渡った。
…その幼女と手を繋ぎながら―
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